ドゥーラ協会からのお知らせ

ご挨拶【設立10周年を迎えて】

2022.03.05

2022年3月5日で、一般社団法人ドゥーラ協会は立ち上げ10周年を迎えます。

協会代表の宗は自然のお産を取り扱う松が丘助産院を経営していますが、助産院運営当初から、出産し帰宅した後、全くサポートがないお母さん達がいらっしゃるのがとても気にかかっていました。この方々を何とか助ける方法は無いだろうか?
お産を取り扱った助産師が自宅に行きお世話をしたい、と思いましたが、私達助産師が助産院を離れてご自宅にまで行ってサポートをする事は不可能でした。

日本では、産後は実家に帰り実母の世話を受けると言う考え方が一般的でしたが、
助産院を立ち上げた24年前から、既に実母のサポートを受けられる方は少なくなっていました。特に東京では、実家が遠い・50代の実母は就労や介護をしている・出産年齢が高くなり実母も高齢など数々の理由で実家を頼れる方は減少し、さらに実母世代と産後直後のお母さんの間で育児に対する考え方が合わず、サポートを受けることで、かえって大きなストレスを感じると言う理由もありました。

そんな中で精神的身体的に産後の母親の状態を理解し、赤ちゃんのお世話もお母さんのサポートもできる、上の子のお世話も家事も担えるという、まさに理想的な実母が必要なサポートを全て担ってくれるような、かつ若干客観的な立場で冷静に状況を見られる人がサポートできたらどんなに良いだろう、と感じていました。

産後ドゥーラの構想は2010年の暮れからありました。しかし2011年3月11日、ドゥーラ協会立ち上げに尽力してくれた初代代表の丑田香澄さんと、松が丘助産院の2階で打ち合わせをしていたその時に東日本大震災が勃発し、東北支援を優先するために、協会設立は一旦保留としました。
 そして東北の被災したお母さんたちを支援するため「東京里帰りプロジェクト」を立ち上げ、被災地から東京に避難するお母さん達を助産院でお世話し、現地で困っているお母さん方のサポートにも奔走しました。
 この支援活動の中でも、産後のお母さんをいかにサポートする必要があるかを実感し、2011年後半からはドゥーラ協会設立の準備も同時に行い、晴れて2012年3月5日産後の日に、一般社団法人ドゥーラ協会を立ち上げることができたのです。

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産後のお母さん達をサポートする必要性は、立ち上げ当時よりも10年経った現在の方がずっと大きくなっている気が致します。母親を取り巻く環境がどんどん厳しくなっているのです。特にこのコロナ禍の中で、産後に実家の援助を得られない、実家に帰ることもできない、人と接触することがためらわれる、と言った孤独な子育てをしているお母さん方が10年前よりもずっとずっと多くなっています。

産後のお母さん達をサポートする必要性は、協会設立当時より社会的にも大きく認知され、産後ドゥーラの名称もメディア等で取り上げていただき、東京だけではなく地方にもかなり浸透してきています。近年は、行政でもその必要性を認め、産後ドゥーラを活用した支援事業を行う自治体が増えています。
 特に東京都では2020年4月から、産後家事育児支援の担い手として産後ドゥーラを認知した予算案が提示され、それを受けて複数の自治体が産後ドゥーラ利用料を助成する事業を始めています。このおかげで東京都では、産後のお母さん方が低料金で依頼しやすくなっており、産後ドゥーラが不足するまでに至っています。

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この10年を振り返り、本当に多くの方々のおかげで産後ドゥーラの必要性が広がり、産後のお母さん方が助かっています。しかし、何よりこれは毎日お母さん方を親身にサポートしてくれる一人一人の産後ドゥーラの働きがあってこそ成り立っています。
 現在、私が設立した当初には想定できなかったほど、産後に困ったお母さん方を多くの産後ドゥーラがサポートしてくれています。またそれに伴って受講希望者も増え、産後ドゥーラの養成が追い付かないほどになっています。

日々サポートしてくれている産後ドゥーラの皆さんに感謝するとともに、ドゥーラ協会や産後ドゥーラの必要性を訴えてくださる多くの方々にも心から感謝し、ドゥーラ協会10周年の言葉と致します。

2022年3月5日

一般社団法人ドゥーラ協会
代表理事 宗 祥子