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産前産後の女性に寄り添い、母親とくらしを支える人。それが「産後ドゥーラ」です。

産前産後の女性に寄り添い、
母親とくらしを支える人。
それが「産後ドゥーラ」です。

産前産後の女性に寄り添い、
母親とくらしを支える人。
それが「産後ドゥーラ」です。

産前産後の女性に寄り添い、
母親とくらしを支える人。
それが「産後ドゥーラ」です。

産後ドゥーラって、なに?

産後ドゥーラって、なに?

産後間もない母親に寄り添い、子育てが軌道に乗るまでの期間、日常生活(くらし)を支える専門家です。

出産後(特に6週間~8週間くらいまで)は、妊娠・出産による身体の変化だけでなく、ホルモンバランスも急激に変化するため、精神的にも不安定になりがちな時期です。昼夜関係なしの2~3時間おきの授乳など、日常生活もがらっと変わる時期に、家事や育児はもちろん、赤ちゃんとの新しい生活に慣れていくお手伝いをします。

なぜ今、産後ドゥーラが必要なの?

現代の日本では、様々な社会的要因により、産前産後に家族や隣近所の助けを借りることが難しくなってきています。妊娠中から出産直後の数日は、出産施設や行政のサポートを受けることができても、出産施設から退院した後の、母親の日常生活のサポートは圧倒的に不足しています。

孤独に育児と向き合いがちな母親が増えている今、特に不安感を抱えやすい産後直後の女性を支えることは、少子化対策、産後うつ防止、児童虐待防止のためにも必要と考えています。

産後ドゥーラは具体的に何をしてくれるの?

産後の女性のご自宅に伺い、とにかく身体を休め、安心して赤ちゃんのお世話に専念できる環境をつくるお手伝いをします。家事や育児はもちろん、上のお子さんの相手、緊急時や異常時には、病院や各行政機関などの必要な専門家とつなぐ役割も果たします。

また、サポートは産後直後に限りません。妊娠中も、つわりで体調が思わしくない時や、切迫早産で安静が必要な時なども、サポートいたします。そして、出産前から、一緒に産後の生活について考えさせていただくことも、大切なことだと考えています。

イラストと写真で産後ドゥーラができることを見る
動画で産後ドゥーラができることを見る(nikkei.com)

「ドゥーラ」の語源について

  • 「ドゥーラ」の語源は、ギリシャ語で「他の女性を支援する、経験豊かな女性」という意味です。
  • アメリカでは、助産師という職業が一時ひどく衰退した経緯があり、出産前後の女性を支援する専門家「ドゥーラ」がひとつの職業として確立され、多くの方が活躍しています。諸外国のドゥーラには妊産婦を支援する「出産ドゥーラ」と、産後女性を支援する「産後ドゥーラ」のふたつの役割が存在します。
  • 海外のドゥーラについては、「チャイルドリサーチネット・ドゥーラ研究室」をご参考ください。
    「ドゥーラ」という言葉を初めて日本に紹介された小児科医の小林登先生、海外のドゥーラについての情報を紹介してきた岸利江子先生の研究記事をご覧いただくことができます。お2人には、ドゥーラ協会発足時からたくさんのご助言をいただき、応援いただいています。

応援メッセージ

小林登(こばやし・のぼる)

小林登
「科学技術の発達によって、優しさを失った現代。
ドゥーラは、現代社会のお産に必要な仕組みだと思います。」

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昔は地域の女性が助け合ってお産をしていました。現代は医療が発達したため、病院出産が増え、いろんな薬もたくさん使うようになりました。その結果、最も大切な「エモーショナル・サポート」が消えてしまったのです。本来は「だいじょうぶ」とあたたかく声をかけ腰をなでるだけで、薬を使わなくてもオキシトシンの分泌が増加し、アドレナリンの分泌が低下して、お産が軽くなります。昔はそういった方法が、経験を通して伝えられていました。私が初めてドゥーラに関する論文を発表したのは、1977年のこと。80~90年代には神経内分泌学の研究が発展し、ホルモンの分泌がエモーションによってコントロールされていることが分かってきました。経験を通して知られていたことが、科学的に証明されはじめたのです。

また、進化心理学の視点からみると、人間は生き残るために情動が発達したと考えられます。人間は多くの動物に比べると小型で牙もありませんが、優しさによって家庭や社会をつくり、集団生活をすることでも生き残ることが出来たのです。ところが今は科学技術のおかげで豊かになり、優しい心を使わなくても生きられるようになりました。そして、個人主義が行き過ぎる冷たい世の中になってしまったのではないでしょうか。その延長線上に、現代の出産・子育ての問題もあると思います。

これからの日本は、科学技術による豊かさの中にも、優しさを取り戻す必要があります。しかし、地域社会にもう一度産婆さんをつくっても、現代の日本には馴染まないでしょう。その代わりに、お産の現場でドゥーラがサポートをする。それはきっと、今の社会にマッチする仕組みになると思いますね。

小林登 プロフィール

東京大学名誉教授/国立小児病院名誉院長/チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)名誉所長/日本子ども学会名誉理事長

小児科医として長年にわたり、育児・保育・教育などの問題を総合的にとらえた「子ども学」を提唱。現在、CRN名誉所長、日本子ども学会名誉理事長として、子ども問題の解決に取り組んでいる。

福澤(岸)利江子(ふくざわ・きし・りえこ)

福澤(岸)利江子
「お産の苦しい時に温かいケアを受けること。
それは、母親の人生や子育てにも影響するのです。」

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妊娠や出産は、病気ではありません。でも、日本では99%の赤ちゃんは病院で産まれていて、出産は世界中で医療化されています。病院だと、病気ではない妊産婦さんへのケアも、医療的な視点から行われることが増えます。また、現在の産科医療は深刻な人員不足。医師や助産師がどんなに頑張っても、一人ひとりの妊産婦さんへのサポート(特に医療以外の部分)には限界があります。そういった状況から、産科の多くは母親の心に寄り添う「エモーショナル・サポート」が十分に満たされていないのです。

私は以前アメリカで、ドゥーラの研究について学んできました。Doulas Of North America Internationalの創立者の一人であるペニー・シムキンは、「母親は、お産の時にどんな言葉をかけてもらったか、20年経っても覚えている」という研究結果を発表しています。「人間関係とは人間の弱さと強さの源」であり、出産の最も苦しい時に温かいケアを受けることは、その時だけでなくその後の母親の人生や子育てもずっと支え続ける重要なことなのです。

日本に限らず、先進国の多くでは核家族化が進み、人間関係がますます希薄化しています。昔は地域で支え合って子育てをしてきたのですが、そういった関係性が(特に都市部では)失われてしまいました。特に日本人は「遠慮」が美徳であり、シャイな国民性をもっています。また、変化の激しい社会を反映して世代間のギャップが大きいこと、教会などの宗教コミュニティが少ないことも日本社会の特徴です。それは、妊娠・出産・育児に直面する母親が、従来のように親世代や地域から必要な手助けを得られずに孤独になる要因になっているかもしれません。これから日本でドゥーラという存在を発達させていくには、そういった日本の特徴を理解することが大切だと感じています。海外で活躍しているドゥーラの事例を参考にしながら、日本の風土に合った新しいドゥーラが誕生することを、楽しみにしています。

福澤(岸)利江子 プロフィール

筑波大学医学医療系 助教。助産師、看護師、保健師、国際ラクテーションコンサルタント。

ドゥーラに興味をもち、2003-2009年にイリノイ大学シカゴ校看護学部博士課程に留学、卒業。 2005年よりチャイルド・リサーチ・ネット「ドゥーラ研究室」運営。